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私がまだ小さかったころ、祖父の背におんぶされて、いつも聞かされたのが、「世のため、人のために役立つ人間になるのだぞ」という言葉でした。どうすることが人のためになるのか、当時はもちろん知るよしもありませんでしたが,しかし、その言葉を小さいころから聞かされてきたのが、いつのまにか心に根づいたのだと思うのです。
作家で、いまは出家をされている瀬戸内寂聴の生家は四国の仏壇屋さんだそうですが、小さいころ、よく仏壇のなかで遊んだと言われております。また、さまざまの分野で名を知られた方々が、「小さいころ、おばあちゃんに連れられてお寺参りをしたものだ」といった思い出話をされるのを、よく耳にします。手を合わせる生活に導かれるご縁は、案外、そうした小さいときのことが深く影響しているものなのです。小さいころに、心のいちばん奥底にあるアーラヤ識に薫習されたものが、長ずるに及んで外に現れてくるわけです。
おやじの一言
手を合わせて合掌する小さな子供の姿は、かわいらしさ以上に愛しさを感じさせる。
そして、この子の家庭では、きっと親やおじいちゃんおばあちゃんが自然と合掌する生活をされているのだろうなと思う。
核家族が多くなり、鍵っ子があたりまえの世の中、最近の若い親でさえ合掌することとは程遠い生活に慣れている今、何が必要かといえばやはりご先祖様を敬う心を小さい時から育てていかなければならないと思うのは私だけか。